住宅以外の耐震診断
既存鉄筋コンクリート造・既存鉄骨鉄筋コンクリート造
診断には1次、2次、3次の3つ診断方法があります。
1次診断
各階の柱と壁の断面積とその階が支えている建物重量から計算する最も簡単な方法です。
比較的壁の多い建物には適していますが、壁の少ない建物では耐力が過小評価されます。
設計図面が残っていれば建物の詳細な調査を行わなくても短時間で計算できる方法です。
2次診断
設計図が残っていることが前提の診断方法です。
各階の柱と壁のコンクリートと鉄筋の寸法から終局耐力を計算して、その階が支えている建物重量と比較する計算方法です。
コンクリートの圧縮強度・中性化等の試験、建物の劣化状態(ひび割れ・漏水・鉄筋錆・コンクリート爆裂)などの調査が必要です。
1次診断より結果の信頼性が高く、公共建築物(学校・庁舎等)で最も多用されている方法です。
この方法で補強を行った建物は、近年の新潟県中部地震などでも被害がほとんどありません。
3次診断
設計図が残っていることが前提の診断方法です。
2次診断のはしたと壁に加えて梁も考慮して計算する、現行建築基準法の保有水平耐力計算とほぼ同程度のレベルで建物の局耐力を計算する方法ですが、保有水平耐力計算という計算方法の、計算上の仮定に最も左右されやすい方法です。
計算結果通りに建物が終局耐力に達するか否かについて、十分注意して判断する必要があります。
一般的に1次診断では比較的壁の多い低層の建物に実施され、2次診断では壁とはしたの強度を計算しながら診断していきます。
1次診断では高さの低い建物を中心に柱や壁の面積を計算していくわけですが、2次診断では1次診断よりも計算の制度が高くなり、低層系・中高層系(6階建て以下程度)の建物の診断に採用する例が多くなります。それ以上の診断は3次診断となります。
また、耐震診断の1次診断の基準はls≧0.8、2次診断と3次診断はls≧0.6となっています。これらで診断した後、数値より高い耐震補強を実施されるようになります。
1968年十勝沖地震、1978年宮城沖地震による建物の被害調査した結果を耐震診断結果ls値が1次診断方では0.8以上あれば被害が無いところから第1次診断法では0.8以上としています。
また、第2次診断法ではls値が0.6以上であれば概ね小破以下となっている事から、2次診断法では0.6以上としています。
第3次診断法は原稿に対するように0.6となっています。
※建物の耐震性能を表す指標をls値(Seismic Index Structure)といいます。
その値が大きいほど耐震性が高く、過去の震害例との関係から目標性能を定めています。
参考文献)既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・同解説(日本建築防災協会)
既存鉄骨建物
木造耐震診断
為本的に構造計算によります。
各階の張間方向とけた行方向の構造耐震指標を下記により求め、これが1.0以上であることを確かめる
- 各階、各方向の構造耐震指標
- 各階、各方向の保有耐力の計算
- 各階、角方向の必要保有有耐力の計算
構造耐力上主要な部分が、昭和56年から施工された新耐震設計基準に適合していることを確かめる。